猿投祭りで使う法螺貝修復
豊田市藤岡地区 山内勝実さん 2025.12.19
豊田市藤岡地区木瀬町に住む奏者の山内勝実さん(76)が今、猿投神社の大祭でも使われてきた法螺貝の修復作業に取り組んでいる。
この法螺貝は大振りで重さが3㎏ほどもあり、「これだけ立派なものは貴重ですよ」と山内さん。手で握る部分の摩耗具合から明治中期以前に作られたものではないかと推察している。専門的なメンテナンスをできる人がおらず、傷みが進んでしまった部分の修復を山内さんが引き受けることになった。
傷みはいく筋かのヒビがあり、穴もあいている。ヒビの接着には動物の骨を煮出して作る天然のタンパク質系接着剤の膠(にかわ)を使う。3か月以上かけて乾燥させ、銀をかぶせて表面を研ぎあげるそうだ。穴があいてしまっている部分は、皮膚移植のように他の貝からちょうどよい部分を切り取ってはめ込み、同じく膠で接着する予定。微細な隙間も音色に影響するため慎重な作業になるそうだ。
山内さんは「貴重な法螺貝を良好な状態で未来へつないでいきたいですね」と話してくれた。来年秋の猿投神社大祭で再びこの法螺貝の重厚な音色が響き渡るのが楽しみだ。 【八木 愛】